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サバンナの鳥
アサヒスズメ (Crimson Finch) © Koji TAGI
オーストラリア大陸のほぼ中央、最北部にダーウィン(Darwin)という名前の都市があります。進化論で有名なダーウィンから由来しているのでしょうか。人口は10万人以下ですが、近代化された街です。一年の半分、日本の秋から春にかけては雨季で、特に1-3月に1000mmもの雨が降り、5-10月にかけては数十日も晴天が続く典型的なサバンナ気候の中にある街です。この厳しい気象条件のある北部の大地を、大陸南部の人たちは"TOP END"と呼びます。
ダーウィンから約200km南東に行ったところに世界的に有名なKakadu National Park(カカドゥ国立公園)があります。広大なサバンナと赤茶けた岩場の大地を持つ国立公園では、乾季は枯れた黄土色の草原と化し、いたるところで大規模な山火事を目にします。一方、雨季には低地に満々と水をたたえ、一面緑色の大地と変わり、水鳥たちの楽園になります。
サバンナに住む鳥たちの生態は、砂漠の鳥たちと少し似ています。雨季に繁殖をし、乾季に水のあるところへ移動をする鳥が多いようです。サバンナの鳥に会うには、意外でしょうが、乾季の方が向いているかもしれません。まず、それこそバケツをさかさまにしたような豪雨に遭うことがありませんし、雨季には眼鏡も双眼鏡も曇る上、35度以上になるサウナ風呂のような環境も、乾季では気温が上がっても30度で湿度は50%前後にまで落ちる快適この上ない気候になります。
そしてなにより、鳥たちは残された水場を求めて、涸れかけの川や水たまりに集まってくることが多いからです。




写真は左上より、時計周りにウスユキバト(Diamond
Dove), キバシキンセイチョウ(Masked Finch),
ノドアカムジミツスイ(Rufous-throated Honeyeater),
オナガキンセイチョウ(Long-tailed Finch: 左2羽)とコキンチョウ(Gouldian
Finch: 右1羽) © Koji TAGI
ここにある4枚の写真はいずれも水場で乾季に撮影したものです。彼らは夜が明けてから、日が高く昇るまでの間、水場で水浴びをしたり、水を飲んだりします。条件の良い水場を見つけて、そこで待っていれば、運が良ければ朝の2時間で20種以上の野鳥が観察できます。入れ替わり立ち代わり、座っているだけで、様々な鳥がやってくる水場は、バードウォッチャーにとったら、パラダイスかもしれません。
赤い岩のゴロゴロしている崖地からは滝が流れ、乾季でも水をたたえたプールや川が流れます。その川の両岸に沿って、木々が生えています。
川岸にはパンダナスと呼ばれるトゲもあるアロエに似た葉をした植物が点在し、アサヒスズメやカオグロオーストラリアムシクイ(写真:メス)のような鳥が生息しています。ダーウィンやカカドゥにはいないカオグロオーストラリアムシクイは、パンダナスと切っても切れない関係にあるようです。いつもトゲトゲのパンダナスの葉から出たり入ったり。一方、毒々しいまでに赤い色をしたアサヒスズメも、カオグロオーストラリアムシクイほどではないものの、パンダナスの藪がお気に入りらしく、トゲのある葉先で「ピッ、ピッ」と鳴いています。
涼しげな川沿いに腰を下ろして、のんびりと水場に来る鳥たちや、アサヒスズメやカオグロオーストラリアムシクイたちのかくれんぼを眺めていると、時の経つのも忘れてしまいます。
サバンナには、変わった鳥も多く住んでいます。ヨーク岬という、ケアンズの北に伸びる半島に住んでいるキビタイヒスイインコ(写真左)は美しい羽色で知られた鳥ですが、同時にその変わった習性でも有名です。キビタイヒスイインコは、ノーザンテリトリーに住むヒスイインコと共に、白蟻の塚に穴を掘って巣を構えるのです。残念ながら、キビタイヒスイインコは現在では国を挙げて保護されるほどの希少種になってしまいました。主な原因は放牧などによる生息環境の破壊だったのですが、数が減るにつれて、希少性に目をつけた密猟者のターゲットになり、更に生息環境を狭めています。密猟の結果、アメリカで売られた価格はなんと、ペアで約870万円!ペット産業がもたらした悲劇と言ってもいいでしょう。
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